野鼠図鐔 銘 貞之作 吉日

 貞之は隠岐長右衛門と称し刀鍛冶を本業としたが、鉄肌の処理に工夫を凝らし、蝦蟇肌と呼ばれる焼手腐らかしを加えた鍛え強い鉄地からなる、独特の鐔を遺している。この鐔も大胆な図柄が魅力。鉄地一色に仕立て、たわわに実る刈り取り前の稲穂に群がる野鼠を彫り描き、豊穣なる自然の恩恵を表現している。鼠に俵は大黒天を暗示する図だが、この鐔では、自然の美しさを前面に押し出している。野鼠は高彫に毛彫が活き、生命感に溢れている。 
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野鼠図鐔 銘 貞之作 吉日